ふと思い出したこと (その2)- 元 NSA (米国の国家安全保障局)エージェントとの出会い

番外編
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いわゆる「スパイ」 ですか?

先日、上場企業の執行役員に誘われた話を書いた時に反響が大きかったので、 もうひとつ私
がした珍しい体験の話を書きたいと思います。

私が2回目の転職をした時の上司は30半ばのナイスガイでした。

彼は仕事がメチャクチャできて、人当たりもよく、 日本語もとても堪能な人物だったので、 私も一緒に仕事をしていると、毎日本当に多くのことを学ぶことができました。

一緒に仕事をしていると公私ともに次第に仲良くなり、会社帰りにほぼ毎日 「軽く一杯」 行くようになりました。 (ちなみに 「軽く一杯」 が本当にパブでビールを1杯飲むだけなので、時間にすると15分ぐらいでした。)

ある日、ふと「そういえば、 この会社の前にどこに勤めていたかは伺いましたけど、その前ってどこにいたのですか?」と聞いたところ、彼は「NSAだよ」と答えました。

NSA と聞いても私はピンと来なくて、 「どんな会社ですか?」と聞くと、「いや、 会社ではなく National Security Agency というアメリカのお役所」と言いました。それでもまだピンと来ていない私は「そこで何やってたの?」 と聞くと、「まぁ、 シンプルに言うとスバイだね」との回答。

私は、これまでの私の日常生活に登場しない「スバイ」という言葉に戸惑いながら、「スパイ!??,..っていうとあのジェームス・ボンドとかミッション・インボッシプルのトム・クルーズみたいな?」と聞きました。

すると彼は「うーん。彼らは SIS や CIA のエージェントだね。エージェントが足を使って
課報活動を行う感じのスパイ。一方の NSA のエージェントはテクノロジーを駆使して課報
活動を行うスパイだね。」と答えます。

ちなみに、NSAなどの機関も大学のキャンパスに説明会に来て、普通にリクルート活動をするそうです。イメージ的には突然現れた黒服の男に拉致されて、「選ばれし人間として国の為にその身を捧げよ」とか言われるのかなと思っていましたが、案外「普通」ですね。もっとも、入局は超難関で、MLBやNFLと言った人気スポーツで一軍契約を勝ち取ることに匹敵する難しさだそうです。

どんな任務をしていたの?

私が興味津々に「そこでどんな任務についていたの?」と聞きました。

彼の説明によると、 彼が所属していた NSA は通信システムやネットワーク、 人工衛星など
を使ってアメリカに敵対する国や組織の課報を行っていたそうです。

例えば、某国と軍事的に緊張が高まった時には、人工衛星を使ってその国の戦闘機がエンジンを付けた瞬間にモニタリング画面上にその機影が映るので、その飛行経路を分析・予測し前線に伝えたり、某敵対国の大使館が暗号を使って本国と通信をするのを傍受して解析をしたりと言ったことをしていたそうです。

私がもっと教えて欲しいと言うと、「これ以上具体的に話すと、君を消さなくてはならなくなるから」と笑っていましたが、当時はまだ詳細を話すのは本当にまずかったのだと思います。

退職理由について

そんなスリルに満ちた仕事をなぜ辞めようと思ったのかと尋ねたところ、「人が信じられなくなるので辞めることにした」とのことでした。

というのも、スパイは諜報活動を外部に覚られてはならないので、ものすごく頻繁に抜き打ち検査をされるそうなのです。事例として教えてくれたのが下記のようなものでした。

ある日、仕事が終わってスポーツ・バーで軽く飲んでいると、近くに座っていた女性が話し
かけてきました。アメリカンフットボールの試合が中継されていたので、好きなチームに関する話などをしながら観戦をしていたそうです。お酒を飲みながらの観戦だったのでいろいろなトピックについて話しました。

その会話の中で 「お仕事は何をしているのですか?」という一般的なものがあったのですが、 エージェントはその正体に繋がるような質問に対して、どのように答えるのかが決められているので、彼は決められた通りに答えたそうです。試合が終わったので、そのままお開きとなりました。

それから数日後に、彼と一緒に任務についていた人間が突然いなくなりました。上司の説明によるとその人物は機密情報を漏らしたとのことでした。

具体的に何があったのかと言うと、自分と全く同じ店で、同じ質問をされ、お酒が入って気が大きくなったその人は、自分が スパイとして活動をしていることを自慢げに話してしまったそうなのです。

この事例はわかりやすい抜き打ち検査のケースなのですが、もっと巧妙なチェックが数か月に一度行われるようで、秘密を漏らしてしまうかもしれないという心配はなかったものの、常にテストされているのではないかと疑う癖がついてしまい、人としゃべるのが怖くなってしまったとのことです。

そんな彼も今は普通にメチャクチャ仕事ができる人(笑)として、 ブライベートエクイティを仲間と起ち上げてかなり大きな収益を上げています。

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